2022-01-01から1ヶ月間の記事一覧

ε_(ijk) ε_(lmn)

3階反対称テンソルの積 を時折見かける.これを示すのに添え字に一つずつ数を入れて確認するのは大変である.正規直交基底 を使うと なので でよいかと思う.

3×3 余因子行列(その2)

前回の(2)式 は幾何学的な意味をもつ. は と が張る平行四辺形の面積を表すので, と を一次変換した と が張る平行四辺形の面積は,もとの平行四辺形の面積 に をかけたものである,と言える. \eqref{1} で と書き換え, を微小なベクトル にする. が張…

3×3 余因子行列(その1)

余因子行列は以前にも触れたが,ここでは3行3列の行列に限定する.余因子行列 (adjugate matrix) の転置行列である cofactor matrix は,以前にも書いたが と書ける(添え字について和をとる).今回はこの式を証明したい. 準備として,まずベクトル を使っ…

テンソルのnotation

2階テンソルの notation は本によって違う.内積は の2通りの定義がある.発散も の2通りある( は基底).回転の定義も同様.ベクトルの勾配は多くの本では であるが,一部で と定義する本もある.テンソルを扱っている本を見る場合,必ずこれらの定義を確…

ストークスの抵抗法則(その5)

前回で流れの関数が求まった. これから流速が(その2)の(4)によって得られる. 圧力は(その3)の(6), (7)によって得られる. により 積分すると, を定数として を得る. 次に流速から変形速度テンソルを求める.球座標表示で これらは球面上()ではほと…

ストークスの抵抗法則(その4)

前回に求めた ただし を解く.まず, であることから, の形に変数分離できそうである.実際 なので, は を満たす. 境界条件は,無限遠では前々回の(6)であったから, の場合には である.また\eqref{3}より, では常に となることから,球面上でも である…

ストークスの抵抗法則(その3)

ワインバーグの量子力学が文庫で発売されていて驚いた.大学生向けの教科書とはみなされていないということか. さて 前回の流体方程式(1)を再録する. 流速 が の関数なので,圧力 も の関数である.そのため \eqref{1}の左辺は と書ける.\eqref{1}の右辺…

ストークスの抵抗法則(その2)

ストークスの抵抗法則 を導く.流体のずり粘性率 の単位は なので, と球の半径 と球の速さ から力の単位 をつくろうとすると になる.よって問題は係数 がどのように求められるかである. 流体中の球の移動方向を 軸に取り,球の速さを とする.球とともに…

ストークスの抵抗法則(その1)

静止した流体の中を球が一定速度で移動するとき,球が流体から受ける抵抗力 は で与えられる. は球の半径, は球の速さ, は流体のずり粘性率である.力の方向はもちろん球の移動方向の反対向きである. \eqref{1} はストークスの抵抗法則と呼ばれている(…

行列とテンソル

AIでは行列と2階テンソルはほぼ同じ意味で使われているが,物理ではある種の座標変換で決まった変換のしかたをするものをテンソルと呼んでいる.その根底にあるのはおそらく,テンソルは座標の取り方によらない実体である,ということである.ベクトルも同様…

余因子と余因子行列

次正方行列 の余因子(cofactor) とは, の 行目の成分と 列目の成分を抜き取って 次正方行列をつくり,その行列式に をかけたものである. 余因子 を 成分とする行列の転置行列を余因子行列(adjugate matrix)というが,転置しない行列のことを cofactor …

det A, log det A の微分(その2)

行列 が の関数であるとき,関数 の についての微分は である. は の 成分で,同じ添え字について和を取るものとする. として に取れば,前回の結果より を得る.さらに\eqref{2}から になる.\eqref{3}は,前々回の式 の両辺を で微分することからも得ら…

det A, log det A の微分(その1)

正方行列 の成分を と書くとき である. は の余因子, は転置行列を表す.\eqref{1}, \eqref{2} は行列表記で表すと と書ける. は の余因子行列 () である. これらを示すため,まず に注意する( は単位行列)と,\eqref{4}は成分表示で と書ける. の余…

log det A = tr log A

正方行列 に対して という関係が成り立つ. は一般的には対角化可能でなくてもよいが,ここでは対角化可能であると仮定する. とおくと, であるから,\eqref{1} は となるので,\eqref{1}を示すには \eqref{2}が成り立つこと示せばよい. は固有値の積, は…