流体力学一般

ベクトル面積

ベクトル面積(vector area)という量がある.英語版Wikipediaによると,面積分によって と定義される. は面上の単位法線ベクトル.日本語Wikipediaは現時点では存在しない. 閉曲面のベクトル面積は曲面の形状によらずゼロになる. 証明は発散定理を使う.…

ストークスの抵抗法則(その5)

前回で流れの関数が求まった. これから流速が(その2)の(4)によって得られる. 圧力は(その3)の(6), (7)によって得られる. により 積分すると, を定数として を得る. 次に流速から変形速度テンソルを求める.球座標表示で これらは球面上()ではほと…

ストークスの抵抗法則(その4)

前回に求めた ただし を解く.まず, であることから, の形に変数分離できそうである.実際 なので, は を満たす. 境界条件は,無限遠では前々回の(6)であったから, の場合には である.また\eqref{3}より, では常に となることから,球面上でも である…

ストークスの抵抗法則(その3)

ワインバーグの量子力学が文庫で発売されていて驚いた.大学生向けの教科書とはみなされていないということか. さて 前回の流体方程式(1)を再録する. 流速 が の関数なので,圧力 も の関数である.そのため \eqref{1}の左辺は と書ける.\eqref{1}の右辺…

ストークスの抵抗法則(その2)

ストークスの抵抗法則 を導く.流体のずり粘性率 の単位は なので, と球の半径 と球の速さ から力の単位 をつくろうとすると になる.よって問題は係数 がどのように求められるかである. 流体中の球の移動方向を 軸に取り,球の速さを とする.球とともに…

ストークスの抵抗法則(その1)

静止した流体の中を球が一定速度で移動するとき,球が流体から受ける抵抗力 は で与えられる. は球の半径, は球の速さ, は流体のずり粘性率である.力の方向はもちろん球の移動方向の反対向きである. \eqref{1} はストークスの抵抗法則と呼ばれている(…