ストークスの抵抗法則(その1)

 静止した流体の中を球が一定速度で移動するとき,球が流体から受ける抵抗力  F


 \begin{align} F = 6 \pi\, \mu\, a\, U \label{1} \tag{1}\end{align}


で与えられる.  a は球の半径, U は球の速さ, \mu は流体のずり粘性率である.力の方向はもちろん球の移動方向の反対向きである.

 \eqref{1} はストークスの抵抗法則と呼ばれている(この式が使えるのは速さが遅い場合).ミリカンの油滴実験でもこの式が使われるが,この式の導出は(簡潔な式にもかかわらず)意外に面倒である.流体力学の入門書には載っていないことも多い.「物理寄り」の流体力学の本を見ると,ストークスレット(ストークス源)と呼ばれる(別の問題の)解を参考にして,流体中を球が移動するときの流速の表式を推定する形で議論がすすんでゆく.それは一つの解き方ではあるが,もっとダイレクトに流体方程式を解くことで \eqref{1} が導けるはずである.ウェブの講義録などを参考に手順をメモしておく.