「電磁気学の基礎 I」太田浩一 著 (シュプリンガージャパン) の読書メモ
11.4節.磁場中の電子の運動に伴う磁気モーメントは、磁場の変化に対する断熱不変量である.解析力学を知らないと断熱不変量を理解するのは難しい.P269の最初の式の右辺は である.
11.5節.変位電流は磁場をつくらないとくり返し強調。電場や磁場をつくるのは電荷と電流だけである。
11.5.1節.変位電流密度が時間によらない場合,磁場は(11.16)で計算できる.変位電流が球対称であれば積分によって磁場は0になる.球対称でなくても(11.20)によって磁場は0にある.準定常とは変位電流を無視できることだと思っていたが,ここの定義では が無視できる場合らしい.変位電流の時間依存性が無視できない場合には(11.16)に依拠した議論はできない.詳しくは14章でやるらしい.
11.5.2節.(11.23)の下の式は
によるものと思われる.
(11.26)式を得るには,まず を求めて
とする. の微分を順次計算していくと
となるので,これらを使えば(11.26)を得る.
11.6節.ファラデイ(この本ではファラデーではない)の法則をガリレイ変換する.磁場はガリレイ不変を仮定する.K′系の磁場 の時間微分はラグランジュ微分になる.ファラデイの法則はガリレイ不変になるが,電場は(11.31)のように変換しなければならず,磁場とは異なる.