2023-01-01から1年間の記事一覧

カラテオドリの原理と熱力学

熱力学において,熱は状態量ではなく状態の経路に依存する.数学では熱はパフ形式(1形式)で表される.パフ形式は積分因子が存在すれば全微分の形にすることができ,全微分の形になれば状態の経路に依存しない,状態量が定義できる.熱力学では積分因子が絶…

熱力学のメモ

系に流入する熱を , 系になされる仕事を とすると,系の内部エネルギーの変化 は であり,これは可逆変化でも不可逆変化でもなりたつ.これを温度 , エントロピー , 圧力 , 体積 で表すと であり,この式も可逆変化でも不可逆変化でもなりたつ.ところが は…

ケンブリッジ大学出版のオープンアクセス

ケンブリッジ大学出版は学術雑誌だけでなく理数系の専門書も数多く出版しているのだが,専門書のオープンアクセス化が進みつつある.2023年8月20日現在,Physics and Astronomy の分野で45冊がオープンアクセスとなっている.タイトルを眺めてみると素粒子物…

運動量演算子

運動量演算子といえば(1次元ならば)即座に と書き下すわけであるが,微妙な問題を含んでいる。位置と運動量の交換関係 の両辺を位置の固有状態で挟むと となり,左辺は ,右辺は により になる.この式を満たす は, を任意定数として である.右辺第2項は…

そろそろ量子計算の新たな定番本を

昨年9月にZettiliの量子力学第3版が出たが,5カ月経った今でも紙形式しか発売されていない.1000ページもある本を持ち歩きたい人はいないだろう.何で電子版を出さないのだろうか? ところで量子コンピュータ関連の定番書籍と言えば,いまだに2000年に出た N…