2024-01-01から1年間の記事一覧

ヴェス-ズミノ整合条件の交換関係 (Wess-Zumino consistency conditions)

Wess-Zumino 条件の交換関係で悩むところがあるのでメモ.問題は のときに となることを示すことである.(追記:この式は,例えばワインバーグ 場の量子論 第4巻に(これより複雑な形で)みられる.)交換関係を計算すると となる.このうち,右辺第3項と第…

演算子の交換,反交換関係

演算子 と のそれぞれの交換関係,反交換がわかっているときに,交換関係 を計算したいときがある.演算子がすべてGrassmann偶 (G偶) のときは が成り立つ.すなわち1個1個の交換関係を足し上げればよい. 演算子がすべてGrassmann奇 (G奇) の場合, が奇数…

LaTeX の OCR (image to LaTeX)

数式を多用した文章を書いていると,pdf 上の数式などをコピペしてLaTeX 形式に変換できれば非常に便利である.最近はAIを利用してこのようなことができるソフトが増えてきている.いくつか試してみたが,一番認識率が高いのは Mathpix である.当初は無料で…

量子力学の運動量演算子

量子力学の運動量演算子を と暗記していると,時として間違うことがある.座標 の固有状態(状態ベクトル) に を作用させると としてしまいそうだが、これは間違いである.正しくは である.理由がわからなければ,状態ベクトルではなく波動関数に置き換え…

ファデエフ-ポポフの行列式 (Faddeev-Popov)

ゲージ場の経路積分量子化で使われるファデエフ-ポポフの方法は一体何をやっているのかを,簡単な積分で考えてみる. この積分は発散している.そこで次の変数変換を行う. 発散は 積分から生ずる.このように収束する積分と発散する積分を(物理的な意味づ…

エネルギー運動量テンソルの変形(双対テンソル)

ゲージ場のエネルギー運動量テンソル(ユークリッド計量) を変形して となることを示す.以下,ゲージ群の添字 は略す.キーになる公式は である.これを使うと が得られる.すなわち である.よって となるが,最後の式の最後の2項は が について対称であ…

グリフィス 電磁気学 第5版

昨年の冬にグリフィス電磁気学の第5版が発売された.目次をみるかぎり,第4版との違いはわずかである.削除された章や節はなく,追加された節は "4.3.4 The Crystal Ambiguity", "11.2 Power Radiated by a Point Charge", "11.3 The Radiation Reaction" で…

Linear Algebra Done Right

洋書で定評のある線形代数の本,Linear Algebra Done Right の第4版がpdfのオープンアクセスになった.linear.axler.net 線形代数の本は行列や行列式の計算が主体のものと,抽象的なベクトル空間の記述が主体のものとがあるが,この本は後者に属する.