が
の関数
のとき, 導関数を
で表すと
である. では が行列
で,各成分が
の関数であるとき
としてしまいそうだが, 結論からいうとすべて誤りである.誤りの原因は,行列が交換するとは限らないことにある.
これに注意して微分を行う.
これから,正の に対して
である(は単位行列).
次に の計算.
の両辺を微分する.単位行列の微分はゼロなので
両辺に左から をかけて
となる.同じようにして, の両辺を微分すると
なので
となる.
次に行列の対数について.
となる.
対数の微分の式のトレースをとると,トレースの巡回性によって
となる.ここで が
のテイラー展開であることを使うと
となる. であったから,両辺を微分すると
すなわち
を得る.