「電磁気学の基礎 II」太田浩一 著 (シュプリンガージャパン) の読書メモ
15.3節.マイケルソンの実験.装置とともに動く観測者から見た光の進行方向は であるから,(15.18)から M に向かう光速は
となり,逆に M から戻る光速度は向きを として になる.これから分離器と M の往復時間は(15.20)になる.ガリレイ変換を仮定しているのでこの時間はどの座標系でも同じである.M に向かう光路と のなす角は であるから,分離器と M の往復時間 は上式で を に変えたものである.これから,光路差が(15.20)の下の式で与えられる.次に装置を90度回転させる. により となるので,光路差は だけ変化する.この変化が干渉縞のずれを生じさせるはずである.干渉縞の1周期は光路差の1波長に相当するので,光の波長を とすると,干渉縞のずれの数 は ,すなわち
になる.しかし実験結果は によらず となる.
(15.21)はその上の の絶対値と のオーダーを無視する範囲で一致する.
15.4節.ローレンツ変換はローレンツをはじめとして何人もが「発見」していた.ローレンツ変換は波動方程式の形を変えず,速度が小さいときにはガリレイ変換に一致するような座標変換として求めることができる.
(15.22)からK系の時間,空間微分は
が4元ベクトルであることは,正弦波が座標変換で形を変えない条件から得られる.
によって確かめられる.
15.5節.電荷密度のローレンツ変換を考えるには,電荷じたいはどの座標系でも不変だが,空間要素がローレンツ変換の影響を受けることを考慮する.
P465の,箱の壁を飛び出してしまう,という表現がよくわからない.箱の壁はどう考えるのだろうか?静止する観測者は電荷を少なく観測するが,全電荷は同じ,というのもよくわからない.電荷とは電荷密度のことか?
P465の最後の段落について,15.4節から
となるので,逆変換は
となるから、
によって連続の方程式の共変性がわかる.
電流密度が のときは,(15.30)から
になる.