「電磁気学の基礎 II」太田浩一 著 (シュプリンガージャパン) の読書メモ
ラグランジュ関数に対称性があると保存量が存在する.時間変化に対する座標の変化は,時間変化に伴う変化分と,同時刻における座標の変化分とからなる.前者によるラグランジュ関数の不変性はハミルトン関数と,後者は と関係している.
時間の並進対称性からエネルギー保存則,空間の並進対称性から運動量保存則,空間の回転対称性から角運動量保存則が得られる.
ネーターの定理をスカラー場に用いると,保存量ではなく保存流 の存在を示せる.時間の並進対称性から得られる保存流はエネルギー密度とエネルギー流束密度,空間の並進対称性から得られる保存流は運動量密度と運動量流束密度(応力テンソルのマイナス)が得られる.
電磁場の場合も同様にしてエネルギー運動量テンソルが得られる.本ではまず電荷,電流がない場合を求めているが,ある場合もあとで計算するので,最初からある場合を考える. については(16.18)でガウスの法則 を使えばP524の最後の式に が追加される. については(16.24)の2段目の式までは電荷,電流がある場合でも成り立ち,アンペールマクスウェルの法則 を使うことで(16.24)の最後の式に が追加される.
についてはP525の最後の式の最後の等式の直前でガウスの法則 を使うと,最後の式に が追加される.
テンソル項はP526の最初の式を計算すると
となり,右辺第1項を
とし,右辺第2項を
と変形すると
となる.よってP526の2番目の式に対して が追加される.
これらティルダのついた量 () はそれ自身で保存する量 () を加えることによりゲージ不変な量 () にすることができる.
最後に(15.51)を確かめる.座標のローレンツ変換(15.25)は
である. はエネルギー密度とまぎらわしいので速度を とした.
を使って変換則を求める.
により(15.51)になる,と言いたいところだが, の最後の項の符号が合わない.