平面の回転行列 1

 近頃まとまった時間が取れず一冊の本をじっくり読むことができない。なので、気がついたことをちまちま書いていきたい。


 (平面の)回転行列を使うときに


 \begin{align}
\begin{pmatrix} \cos\theta & -\sin\theta \\ \sin\theta &  \cos\theta \end{pmatrix} \tag{1} \label{1} \\\\
\begin{pmatrix} \cos\theta & \sin\theta \\ -\sin\theta &  \cos\theta \end{pmatrix} \tag{2} \label{2}
\end{align}


のどちらを使うべきか混乱することがある.これらは  \theta \leftrightarrow -\theta の関係なので,回転方向の違いだけなのだが,どちらがどの方向の回転なのか忘れることがある.回転方向は回転軸を真上からみて反時計回りを正にとる,つまり回転軸方向が右ねじの進む向きとするとき,右ねじの回転方向を正方向とするのが普通である.正しい回転行列を「思い出す」一つの方法は,  x 軸方向の単位ベクトルに回転行列を作用させてみることである.例えば \eqref{1} の場合


 \begin{align}
\begin{pmatrix} \cos\theta & -\sin\theta \\ \sin\theta &  \cos\theta \end{pmatrix} \begin{pmatrix} 1 \\ 0 \end{pmatrix} = \begin{pmatrix} \cos\theta \\ \sin\theta \end{pmatrix} \tag{3} \label{3}
\end{align}


であり,小さい正の  \theta に対して  \sin\theta は正なので,右辺を見れば  y 軸の正方向にベクトルが回転することがわかる.したがって \eqref{1} の回転行列はベクトルを角度  +\theta だけ回転させる.逆に \eqref{2} の回転行列はベクトルを角度  -\theta だけ回転させる.

 
 以上は座標軸を固定してベクトルが回転する,能動的回転の場合である.ベクトルを固定して座標軸を回転させる,受動的回転の場合では,\eqref{2} の回転行列が座標軸を正の向きに回転させ,結果としてベクトルを負の向きに回転させることになる.