計測における誤差解析入門(その42) 12-16, 12-17

John R. Taylor「計測における誤差解析入門」の読書メモ


12.16

(a)  E_k = 40 P_2(\nu=k-1) より,  E_1=5.41, E_2=10.8, E_3=10.8 であり,  \nu=3 以上は  E_4 = 40(1-P_2(0)-P_2(1)-P_2(2))=40\times 0.3233=12.9 となる.これから,  \chi^2=9.6 となり,制約条件は40人の1つであるから,自由度は  d=4-1=3 である.よって  \tilde{\chi}^2=3.2 となる. P295の表から,このときの確率は約2%であり,5%水準でポアソン分布にしたがうという仮説は棄却される.


(b)  E_k = 40 P_{1.35}(\nu=k-1) より,  E_1=10.4, E_2=14.0, E_3=9.45 であり,  \nu=3 以上は  E_4 = 40(1-P_{1.35}(0)-P_{1.35}(1)-P_{1.35}(2))=40\times 0.1545=6.18 となる.これから,  \chi^2=0.58 となり,制約条件は40人と平均値の2つであるから,自由度は  d=4-2=2 である.よって  \tilde{\chi}^2=0.29 となる. P295の表から,このときの確率は60%以上であり,ポアソン分布にしたがうという仮説と矛盾しない.

12.17

(a) 期待値が8人に対し,観測値は11人であるから


 \begin{align} 
  \chi^2 = \frac{(11-8)^2}{8}+\frac{(5-8)^2}{8}=2.25
\end{align}


二項分布による計算では


 \begin{align} 
  \sum_{\nu=1}^5 B_{16, 1/2}(\nu) +  \sum_{\nu=11}^{16} B_{16, 1/2}(\nu) = 0.210
\end{align}


となる.

(b) 期待値が200人に対し,観測値は225人であるから


 \begin{align} 
  \chi^2 = \frac{(225-200)^2}{200}+\frac{(175-200)^2}{200}=6.25
\end{align}


平均値200, 標準偏差10のガウス近似を使うと, 225-200=25は2.5倍の標準偏差であるから,P289の表より確率1.24%となる.


(c) 調整カイ二乗はイェイツの修正とも言われる.Wikipediaによると批判もあるらしい.


 \begin{align} 
  \chi^2 = \frac{(11-8-0.5)^2}{8}+\frac{(8-5-0.5)^2}{8}=1.56
\end{align}




 とりあえず最後まできた.第2版まえがきによると全部で264題あるそうで,読者は半分やるだけでも十分である,と書いてある.一方で初版のまえがきを読むと,3分の1やれば十分と書いてある.第2版は初版よりも問題数が2倍になったらしいので,第2版の半分の量は初版の量の3分の1に比べると3倍の量になり,どう考えても矛盾している.それはともかく,何らかの計測をしようとする人には是非ともおすすめできる.