特殊関数

球面ベッセル関数

NISTのDLMFによると,第1種,第2種球面ベッセル関数は であり,特に では である.過去に は と書いて球面ノイマン関数と言っていた.球面ノイマン関数という名称はいずれ使われなくなるかもしれない. は,ここでの定義と符号が逆の本があるらしいが,J. J.…

合流型超幾何関数 その8 (漸近展開4)

最後に の場合.これは前回の とほぼ同じで,積分表示の(1)式を複素積分にし,図のような長方形の経路に沿って一周する. 結果は になる.これはNISTのDLMF 13.7.2式と同じである. まとめると になる.ストークス現象により偏角によって展開が異なる.

合流型超幾何関数 その7 (漸近展開3)

今度は の場合. 積分表示の(1)式を複素積分にし,図のような長方形の経路に沿って一周する. の大きさによらず長方形の内部で被積分関数は解析的なので,積分は0になる. 上で , 上で , 上で と変数変換する.例えば の積分は となる.これより となる.こ…

合流型超幾何関数 その6 (漸近展開2)

今回は の場合.前回の(2)式を再掲する. の場合, であるから,\eqref{1}の第1項は第2項に比べて無視できる.第2項の中で と変形すると( は上昇階乗べき), になる.

合流型超幾何関数 その5 (漸近展開1)

ここで行う漸近展開の方法は次の本による. J. B. Seaborn, "Hypergeometric Functions and Their Applications", Springer (1991). 前回の積分表示で引数を複素数に拡張した から出発する.積分区間を変更して変数変換すると になる.最後の等式で第1項を …

合流型超幾何関数 その4 (積分表示)

合流型超幾何関数はいくつかの表記がある.前回書いた はクンマー関数と言われるもので,他にオルバー関数 がある.DLMFによると, の関係がある.オルバーはDLMFの著者の一人,F.W.J. Olver であろう.さらにホイッテーカー関数 とは の関係がある. さて,…

合流型超幾何関数 その3 (微分方程式の解)

合流型超幾何微分方程式 の解として を仮定する. より\eqref{1}は となり,変形すると となる. の項が0になる条件(決定方程式)は である.漸化式は で与えられる. の場合,\eqref{2}は となる. は0や負の整数ではないとする. は上昇階乗べきである.…

合流型超幾何関数 その2 (微分方程式の特異点)

2階微分方程式 に存在する特異点 確定特異点: で の少なくとも一方が発散し,かつ がどちらも有限のとき, は確定特異点である. 真性(不確定)特異点: の少なくとも一方が で発散するとき, は真性(不確定)特異点である. 無限遠での特異性をみるには…

合流型超幾何関数 その1 (上昇階乗べき)

合流型超幾何関数の漸近展開を調べていたのだが,数学の本を見ると複素平面上に複雑な経路を取って積分している.厳密性を欠いても,もう少し簡単に導出する方法がないか探していたところ,何となく見つかったのでメモしておきたい.とりあえずは準備から. …

ラゲール多項式(その2)

ラゲール多項式のどの定義を使うべきか迷うところだが,個人的にはNISTのDLMFによる定義を使うのが無難だと思っている.DLMFではラゲール(陪)多項式の定義はその1の(2)式と(4)式である.また前回,J. J. サクライの量子力学 第2版では(1)式や(3)式が使われ…

ラゲール多項式(その1)

ラゲール多項式は水素原子波動関数にでてくる(正確にはラゲール陪多項式).それ以外に使いみちがあるかと言われるとあまり思いつかないが,調和振動子でも球座標で解けば必要になりそうである.ラゲール多項式の定義は本によって異なる.例えば J. J. サク…