導体円板上の電荷分布

導体に電荷を与えると,導体表面にのみ電荷が分布する.静電気学の初め頃に学ぶことである.しかしこれは3次元の導体について言えることであって,2次元導体や1次元導体では正しくない.2次元の導体円板に点電荷を加えていくと,点電荷が円板上でどのように分布するかという問題は1980年代から知られている.(数学ではこうした問題が一般化され,フェケテ問題などと呼ばれている.)同じ大きさの点電荷を1個ずつ円板に加えていくと,11個までは円板の周上に電荷が等間隔に分布するが,12個になったところで11個が円周上,残りの1個は円の中心にきたほうがエネルギーが低くなる.電荷が80個までの数値計算の結果が以下の論文に掲載されている.


Kari J Nurmela, "Minimum-energy point charge configurations on a circular disk", J. Phys. A. Math. Gen. 31 (1998) 1035.


以下はこの結果である.電荷が12~16個までは下図のように中心に1個の電荷を配置したほうがエネルギーが下がる.



17個になると中心付近に電荷が2個くる.



19個では中心付近に3個,22個では中心付近に4個となり,さらに5個,6個と続く.



30個になると中心付近に7角形,とはならず,下図のようになる.



さらに電荷を増やしていくと



となる.