「電磁気学の基礎 I」太田浩一 著 (シュプリンガージャパン) の読書メモ
2.3節では具体的な電荷分布に対する電場を求める.
2.3.1. 直線電荷がつくる電場
長さ の線分上に一様に電荷が分布しているときの,線分がつくる電場を求める.線分を 軸上に取り,電荷の位置を ,観測点を に取る.は円柱座標の成分である.通常は と取るが,今の場合 方向は対称性をもつから の中で としても一般性を失わない.電荷の位置から観測点までの距離は
\begin{align}|\mathbf{x}-\mathbf{x}'|=\sqrt{\rho^2+(z-z')^2}\end{align}
で, の 方向成分,すなわち 方向成分は であり, 方向成分は である. にある電荷は であるから, はそれぞれP31の 積分の表式になる.
積分は と変数変換すれば (2.9) が使え,その結果 の最終表式を得る.
が小さいときは について (2.10) のように展開できる.ここで である. の1次まで取れば (2.10) の下にあるような の表式が得られ,2式をまとめて書くとその下の の表式になる.
半無限長の場合は下でやることにして,先に無限長の場合を考える.これは の最終表式で とすればよい.結果は になり, は (2.12) になる.
半無限長の場合, の最終表式で と置き換えればよい.そうすれば から までの線分になるので, で半無限長になる.
\begin{align}E_\rho &= \frac{\lambda}{4\pi\epsilon_0\rho} \left[ \frac{z+l}{\sqrt{\rho^2+(z+l)^2}}-\frac{z}{\sqrt{\rho^2+z^2}} \right] \\\\
E_z &= \frac{\lambda}{4\pi\epsilon_0} \left[ \frac{1}{\sqrt{\rho^2+z^2}}-\frac{1}{\sqrt{\rho^2+(z+l)^2}} \right]\end{align}
で 第1項目は1, 第2項目は0になるので,
\begin{align}
E_\rho &= \frac{\lambda}{4\pi\epsilon_0\rho} \left( 1-\frac{z}{\sqrt{\rho^2+z^2}}\right) \\
&= \frac{\lambda}{4\pi\epsilon_0} \frac{1}{r^2-z^2} \frac{r-z}{r} \\
&= \frac{\lambda\rho}{4\pi\epsilon_0 r(r+z)} \tag{a} \label{a} \\\\
E_z &= \frac{\lambda}{4\pi\epsilon_0 r}
\end{align}
になる. の場合, は非常に小さくなるので
\begin{align} r=|\mathbf{x}|=\sqrt{\rho^2+z^2}=-z\left(1+\frac{\rho^2}{z^2}\right)^{1/2}\cong -z-\frac{\rho^2}{2z}\end{align}
を使うと
\begin{align} \frac{\rho}{r(r+z)}\cong\frac{\rho}{(-z)(-\rho^2/2z)} = \frac{2}{\rho}\end{align}
を得るので, \eqref{a}は
\begin{align} E_\rho \cong \frac{\lambda}{2\pi\epsilon_0\rho}\end{align}
となる.
式番号のない式を引用するのが大変である.なんとかならないものだろうか.