「電磁気学の基礎 II」太田浩一 著 (シュプリンガージャパン) の読書メモ
この節からアブラハム-ミンコフスキー論争に関係する話題であるが,残念ながら詳細は知らない.この本はアブラハムを支持しているようである.
(18.39)を満たす がそれぞれ(18.36), (18.38)で与えられた場合を考える.(18.36)は等温,等積であるので,(18.39)は
となる. の変換式が実際に成り立っているかどうか,(15.51)を使って確かめる.
右辺第1項の 以外は のオーダーなので, の1階微分であっても によって消える.よってP602の最初の式の の関係式が成り立つ.次に について
であり,右辺第1, 2項以外は のオーダーなので, の1階微分でも によって消える.また
なので右辺第1項も としてよい.よってP602の最初の式の の関係式も成り立つ.
の1次のローレンツ変換から
\begin{align}
\mathbf{S}' &= ( \mathbf{E}+\mathbf{v}\times\mathbf{B})\times\left[ \frac{1}{\mu_0}\left(\mathbf{B}-\frac{1}{c^2}\mathbf{v}\times\mathbf{E}\right) - (\mathbf{M}+\mathbf{v}\times\mathbf{P})\right] \\
&= ( \mathbf{E}+\mathbf{v}\times\mathbf{B})\times\left( \mathbf{H} - \epsilon_0\mathbf{v}\times\mathbf{E} -\mathbf{v}\times\mathbf{P} \right) \\
&= ( \mathbf{E}+\mathbf{v}\times\mathbf{B})\times\left( \mathbf{H} - \mathbf{v}\times\mathbf{D} \right) \\
&= \mathbf{E}\times\mathbf{H} -\mathbf{E}\times(\mathbf{v}\times\mathbf{D})-\mathbf{H}\times(\mathbf{v}\times\mathbf{B})
-(\mathbf{v}\times\mathbf{B})\times(\mathbf{v}\times\mathbf{D})\\
&= \mathbf{E}\times\mathbf{H} + \mathbf{D}\mathbf{E}\cdot\mathbf{v}-\mathbf{D}\cdot\mathbf{E}\mathbf{v}
+\mathbf{B}\mathbf{H}\cdot\mathbf{v}-\mathbf{B}\cdot\mathbf{H}\mathbf{v}
\end{align}
となる.最後の等式で のオーダーの項を落とした. の1次は後で を取るので残す必要がある.粒子数保存則を使うと,
となる.下から2番目の等式で微分のつかない 比例項を落とした. から, は のゼロ次のオーダーでよく, である.これらの式を(18.41)に入れ,微分のつかない 比例項はすべて落とす.この場合,(15.51)より になる.すなわち(18.41)の右辺は になる.左辺は
となる.これらの項のうち, を含まない項はプライムのない系でのポインティング-ヘヴィサイドの定理を満たしているので,すべて相殺される.すなわち
となり,整理してP602の下から3番目の式になる.