以前の量子力学の本では,球面調和関数の定義は次のように書かれていた。
最近の本では次のような定義になっているものが増えてきている.
いずれも の場合である.両者の違いはコンドン-ショートレー位相と呼ばれる の有無である.実は,最近の定義はこの位相が無くなったわけではなく,ルジャンドル陪多項式 の定義に位相が含まれるようになっている.すなわち を新しいルジャンドル陪多項式の定義としている.例えば,D.J. Griffiths, "Introduction to Quantum Mechanics" 2nd ed. (Pearson 2005) では古い定義を使っているが,2018年の第3版では新しい定義に変わっている.またアルフケン-ウェーバーの物理数学の本でも,日本語版がある第4版(1996年,日本語版は2001年)では古い定義だが,2012年の第7版では新しい定義になっている.さらに英語版 Wikipedia や Mathematica も新しい定義が使われている.はっきりした理由はわからないが,"AMS-55"として知られる,M. Abramowitz and I. A. Stegun eds., "Handbook of Mathematical Functions with Formulas, Graphs, and Mathematical Tables" (National Bureau of Standards 1972) の定義に合わせたのかもしれない.