計測における誤差解析入門(その1)

 今回は

John R. Taylor 著, 林茂雄・馬場凉 訳,「計測における誤差解析入門」 (東京化学同人 2000)

を読みたい.著者の J. R. Taylor は古典力学の著者として(おそらく)アメリカでは知られている.日本語訳も最近出た.上の本の原著は

John R. Taylor, "An Introduction to Error Analysis" 2nd ed. (University Science Books 1997)

である.原著の出版から23年経っているため,途中でロータス 1-2-3の記述があったりするが,内容は今でも十分に通用すると思われる.

 
 読み始めてみると非常にわかりやすく,ここにメモしておくようなことはほとんどない.しかも章ごとにまとめも載っている.章末問題があり,奇数番号の問題のみ解答がついている.解答のついていない問題は基本的に手をつけないのだが,今回は例外的にやってみようと思う.それでせっかくなので偶数番号の問題の答をここに書いていきたい.


 日本の参考書は比較的しっかり解答がついているが,訳書などは解答のないものが多い.解答がないと自分の答が正しいのかわからない.正しいと思っていたらずっと後になって,実は間違いだとわかったこともある.教育目的で解答をつけないのだろうが,専門家が読むレベルの本でも,平気で解答のない問題が載っている.しかも解答を知らないと本文を読むうえで支障が出るものさえある.専門家たちはまじめにこれらの問題を解いているのだろうか?