電磁気学の基礎 I (その24) 5.1, 5.2, 5.3, 5.4

電磁気学の基礎 I」太田浩一 著 (シュプリンガージャパン) の読書メモ


 4章まで終わったが,2章に比べると式の誘導が不親切になってきた.図が少ないのが辛い.言葉だけの説明では状況設定がわからないときがある.


 5.1節.水素原子がつくる電場のうち,原点の原子核がつくる電場は  e/4\pi\epsilon_0 r^2 であった.電子雲のつくる電場はこれを引く.


 5.2節.単位体積当たりの量を表すときは小文字のほうが普通だと思うが,この本では逆である.(5.3)の左辺から右辺への変形はまず思いつかない.


 5.3節.(5.9)右辺第1項の計算は,逆から導いてみる.


 \begin{align}
  \frac{1}{2}\int dV \mathbf{x}\mathbf{x}\varrho^Q+\frac{1}{2}\int dS \mathbf{x}\mathbf{x}\sigma^Q 
  &= -\frac{1}{2} \int dV \mathbf{x}\mathbf{x}\pmb{\nabla}\cdot\mathbf{P}^Q+
     \frac{1}{2} \int dS \mathbf{n}\cdot\mathbf{P}^Q \mathbf{x}\mathbf{x} \\
  &= \frac{1}{2} \int dV \{ -\mathbf{x}\mathbf{x}\pmb{\nabla}\cdot\mathbf{P}^Q+\pmb{\nabla}\cdot(\mathbf{P}^Q \mathbf{x}\mathbf{x})\}
\end{align}


最後の式はややわかりにくいので成分表示で計算すると


 \begin{align} -x_ix_j\partial_k P^Q_k + \partial_k(P^Q_k x_i x_j) = P^Q_k x_j \partial_k x_i + P^Q_k x_i \partial_k x_j  = P^Q_i x_j + x_i P^Q_j \end{align}


となるので(5.9)右辺第1項に戻る.


 5.4節.束縛電荷密度の b はbound chargeから. \mathbf{D} に物理的意味はないということだが,今後も  \mathbf{D} は使うようである.真空中では  \mathbf{D}=\epsilon_0 \mathbf{E} だと思っていたが,そうでない定義もあるとは知らなかった.