「電磁気学の基礎 I」太田浩一 著 (シュプリンガージャパン) の読書メモ
今後,計算にアインシュタインの縮約記法を使う.座標をなどとするとき,和の記号を省略し
と書く.
電気双極子は同じ大きさのプラスとマイナスの電荷対だが,この本では電荷対の距離を0にする極限を取り,同時に電荷を無限大にする.後者の極限は双極子モーメントが発散しないようにするためである.
3次元デルタ関数に関する(3.33)は, の場合は通常の微分である.デルタ関数項については, として1から3まで和を取ると,左辺はラプラス演算子 に,右辺は1項目と2項目が相殺して消え,3項目は になり,(3.26)になる.左辺が について対称なので,右辺で取り得る項の形は であるが,(3.26)を再現するようなものは の形だけである.係数も(3.26)を再現するように決めれば になる.
(3.33)を使うと
により(3.34)を得る.この電場の発散をとると,(3.26)を使って(3.35)になるので,双極子モーメント密度は(3.36)で与えられる.この式は微分演算子がつく以外は通常の電荷密度(2.36)と同じ形をしているので,双極子モーメントが位置 にあるときの電荷密度分布は(2.36)と同様に
となる.この式を使っているのが(3.37)と(3.38)で,ともに3番目の等式は
を使って微分演算子を積分の外に出してから積分を計算している.
(3.38)の下にある,ベクトルの恒等式は
により確かめられる.これと(3.38)から
となり,(3.37)と一致する.
トルクの計算では
となる.下3行の計算で(3.39)を使っており,(3.39)の2番目の等号は
により確かめられる.