「電磁気学の基礎 I」太田浩一 著 (シュプリンガージャパン) の読書メモ
2.3.2節の続き.(2.14)の積分
を確かめる.複素積分に直してもよさそうな形だが,まずは本の通りに積分してみる.最初に の場合を考える.積分区間を ] と ] に分け,後者を と変数変換すると,] の積分と同型になる.
と変数変換すると, , であり
となるので,
になる. と置くと, のとき
になる.一方, のときは積分区間に発散を含むので微妙な計算になるが,気にせずに変形していくと
になる.\eqref{190927-1} , \eqref{190927-2} をまとめて, に戻すと
となり,(2.14) が得られた.
となるが,同じことを の場合でもしてみると
となるので、結局 の場合は のときと符号が変わるだけである.したがって最終的に
を得る.つまり(2.14)は の場合の結果であった.
(2.14) を複素積分で計算してみる. とおくと は単位円周上の周回積分になる.
極は にある. のときはこの極のどちらかを拾い,上で得た結果と同じ結果を与える.一方 の場合,極が単位円周上にくるので積分ができなくなる.内側に迂回できれば積分値が0になるが,そのようにできる処方があるのだろうか?
(2.14)と同型の積分が,「詳解 物理 応用数学演習」後藤憲一,山本邦夫,神吉健共編(共立出版)のP148 [38] (3)に載っている.ただしそこでは の場合しか問われていない.