本の付加価値

 本,特に専門書は書店で確認しただけではわからない価値がある.例えばプログラミング関連書籍では,随分前から掲載コードがgithubなどで公開されている.こうしたサービスは本を見ただけではわからない付加価値である.もちろん本文にその旨の掲載はあるが,それがどれくらい充実しているかは実際に確認してみないとわからない.

 理数系の本は残念ながら情報系書籍に比べるとネットを使ったサービスを活用しているものが少ない.サービスが不要かというとそんなことはなく,理数系の本にありがちな正誤表の掲載は重要であるし,演習問題の解答がない本については解答を載せることもできる.さらに読者向けに質問掲示板があったりすると最高なのであるが,そこまでしている本は非常に少ない.個人的な印象としては,大学初年級用の本はこうしたサービスを充実させているものが多い.おそらく多くの類似本が出版されているので競争率が激しく,他と差別化を図るためと思われる.一方で専門的なものになるほどネットを使ったサービスは減っていき,昔ながらの「売りっ放し」状態が多い.

 理数系の本では少ないが,正誤表をあえてつくらず,訂正を施したうえで少しだけ内容を変更して第2版,第3版・・・と出し続ける場合もある.それは売る側の戦略ではあるが,買う側からするといい気はしない.

 数式の多い本を確認しながら読んでいくと,自分の計算と本の式が合わないことはよくある.自分の計算が間違っているのか,本に誤植があるのかを判断するのが難しいとストレスが溜まる.今後は本の内容だけでなくサポートが充実しているかも専門書を選択するうえで重要な指標となるのではないだろうか.