電磁気学の基礎 II (その52) 18.18

電磁気学の基礎 II」太田浩一 著 (シュプリンガージャパン) の読書メモ


 最後の節はマクスウェルとヘヴィサイドに関する歴史の話題なので本の内容には触れず,関連することを書いておきたい。


 マクスウェルの著書,"A Treatise on Electricity and Magnetism" は現在でも売られているし,インターネットアーカイブで全文公開されている。最近出た邦訳として


 木口勝義,近藤康(訳),「電気と磁気」第1, 2巻(2014)


が見つかる.この本の扱いがよくわからないのでリンクは控えるが,学術機関リポジトリデータベースから無償でダウンロードできた.


 ヘヴィサイドの本ももちろん売られている.邦訳されたことはないのだろうか?


 アインシュタインが電磁気を学ぶのに使ったという,フェップルの本は英訳されていないのだろうか.検索したが見つからない.原著はインスブルック大学で公開されている.



 付録C に推薦図書が掲載されているが,邦訳があってもあえて原書が紹介されている.ゾンマーフェルトの本はドイツ語である.原書主義かと思ったが,ランダウ-リフシッツの "Теория поля" だけはなぜか原書ではなく英語版が紹介されている.邦訳の「場の古典論」は第6版の翻訳であるが,原書では2001年に第8版が出ている.ただGoogle Booksで確認した限り,第6版と章立てが同じなので大きな変更はないようである.



 さて II も一通り終わった.I の初めに比べると式変形の丁寧さはすっかりなくなってしまった.それでも読み進められたのは,この本が良かったことに尽きるというか,少なくとも自分には合ったのだろう.ただ,II は内容が広範囲のため,もう少し詳しい説明がほしいところが多々あった. I よりも誤植と思われるところも増えた.正誤表があったらかなり助けになっていたと思う.それにしても電気4極子放射という基本的な式も本と合わず,AB効果もよくわかっていない.前回の18.17節もよく理解できていない.II もこれで読了したと言ったら言い過ぎだろう.