量子力学のブロッホの定理をいまひとつ理解できていない。ポテンシャルが周期的で
のとき,平行移動の演算子
はハミルトニアンと交換する. はユニタリーであるから固有値の絶対値は1であり,実数 を使って
となるので
となる.猪木-川合「量子力学I」ではこれをブロッホの定理と呼んでいる.ただ,多くの本では
をブロッホの定理と呼んでいる.この式を導くにはポテンシャルの周期性だけでなく,波動関数に周期的境界条件を課さなければならない。ポテンシャルが周期的であることと,波動関数に周期的境界条件を置くことは別のことであるような気がするのだが…
追記
この件はアシュクロフト, マーミン(著),松原武生, 町田一成(訳) 「固体物理の基礎 上・I」吉岡書店 (1981) に詳しく書かれていた。ブロッホの定理は結晶中の電子の運動を強く意識した定理なので,1辺が結晶格子の基本単位の整数倍になるような容器を仮定するのが最も都合がよい.なので波動関数もそのような容器中で有効な周期的境界条件を課す.