量子力学一般

角運動量の「辞典」

量子力学の入門書を現在と以前とで比較してみると,いくつかの違いがあることに気づく.その一つが角運動量の扱い方で,以前のほうがずっと詳しく書かれていた.これはおそらく量子力学の応用として原子物理や原子核物理を見据えていたためであろう.現在で…

ブロッホの定理

量子力学のブロッホの定理をいまひとつ理解できていない。ポテンシャルが周期的で のとき,平行移動の演算子 はハミルトニアンと交換する. はユニタリーであるから固有値の絶対値は1であり,実数 を使って となるので となる.猪木-川合「量子力学I」ではこ…

レビンソンの定理

量子力学の散乱にレビンソンの定理というものがある.レビンソンの論文は N. Levinson, Kgl. Danske. Vid. Sels. Mat-fys 25 No.9 (1949) というもので,これがどういう学術誌なのかさっぱりわからなかったのだが,最近ようやくここに論文が公表されているこ…

部分波展開

部分波展開の公式についてのメモ レイリーの公式 証明 砂川重信,「散乱の量子論」岩波書店 (1977) P248 猪木慶治,川合光,「量子力学 II」講談社サイエンティフィク (1994) P443 球面波型関数の展開公式 証明 砂川重信,「散乱の量子論」岩波書店 (1977) P…

断熱近似とベリー位相

量子力学の断熱近似とベリー位相をウェブで検索してみると,多くが J. J.サクライ「現代の量子力学(下)第2版」と同じ説明である.ただこの本がオリジナルというわけではなく, Griffiths (2005) の取扱いにならった,と書いてある. Griffiths (2005) とは…

量子力学の定常摂動論(その2)

レイリー-シュレーディンガーの摂動展開 を具体的に計算してみる. としておくと,1次では 2次では となる.ここで の項は高次項なので落としている.これらの状態は規格化されていない. この調子で計算を続けていくと, の項は5個, の項は12個ある.一般…

量子力学の定常摂動論(その1)

量子力学の,時間によらない摂動論は演算子のままで計算すると比較的楽に展開できる。 非摂動部分のシュレーディンガー方程式を とし, はわかっているとする.また縮退はまったくないとする.摂動項が加わった場合を とする. で になる.直交条件として を…