電磁気学の基礎 I (その22) 4.8.1, 4.8.2

電磁気学の基礎 I」太田浩一 著 (シュプリンガージャパン) の読書メモ


 4.8.1節.このシャボン玉の例題はわりと多くの本で取り上げられているようである.気圧差  \Delta p の向きは動径方向であるが,天頂角が  [0,\theta] の面積要素にかかる圧力は各微小面積要素にかかる力を合計すれば  z 軸方向の力のみが残る.それが最初の式である.この面積要素の切り口には表面張力がかかるが,各微小線要素にかかる力を合計するとやはり  z 軸方向だけ残る.シャボン玉は裏表両面から表面張力が生ずるので,その分2倍にする必要がある.その結果(4.51)が得られる.


 シャボン玉表面に電荷  q があると,電荷面密度は  q/4\pi a^2 なので,表面に電場  E=q/4\pi\epsilon_0 a^2 をつくる.本では  a になっているが誤植である.


 シャボン玉表面に単位面積あたりに働く力  T の導出は(4.37)と同じ.


 図4.8のTは電気力線を伸ばす方向であるが,P105には電気力線が短くなるように働く張力T,とある.何が主語なのかよくわからない.注目している電気力線には外からTの力が作用するので,電気力線内部ではその反作用としてTとは逆向きの,短くなるような力が働く,ということであろうか.


 4.8.2節.(4.55)は右辺を分解すると


 \begin{align} \mathbf{E}\pmb{\nabla}\cdot\mathbf{E} +\mathbf{E}\cdot\pmb{\nabla}\mathbf{E}-(\pmb{\nabla}\mathbf{E})\cdot\mathbf{E} +(\pmb{\nabla}\mathbf{E})\cdot\mathbf{E}-\mathbf{E}\cdot\pmb{\nabla}\mathbf{E} \end{align}


となるから左辺を得る.


 P107,「図4.9の体積要素」は図4.8の体積要素の誤り.