レシュの定理

 現在読んでいる「電磁気学の基礎II」の著者である太田浩一氏の別の著書,「熱の理論」(共立出版 2018)を本屋で見つけた.その中に熱容量と圧縮率の関係式である「レシュの定理」というものが登場する.現代の教科書でレシュの定理は忘れられている,と書かれているのだが,何となくこの定理は記憶があった.帰って調べてみると,小林謙二著 「熱統計力学 I」(朝倉書店 1983)の中に Reech の定理として引用されていることを思い出した(この本には体積増加の潜熱や圧力増加の潜熱も登場する).Ferdinand Reech (1805-1884) とあり,検索してみるとおそらくこの人である.この定理は Journal de Mathématiques Pures et Appliquées というフランス語の学術誌に1853年に発表されている.その全文がインターネットアーカイブ公開されているので,フランス語がわかれば読むことができる.