「電磁気学の基礎 II」太田浩一 著 (シュプリンガージャパン) の読書メモ
15.16節.共変テンソルを(15.54)で定義したときの成分表示は
である.反変テンソルの成分は(15.56)であり,一般座標系では反変テンソルの電磁場と,共変テンソルの電磁場は異なる.慣性系ではもちろん同じ.
磁気モノポールがある場合でも を定義できることは知らなかった. が定義されなくても が定義できるということは, よりも のほうが第一義的な量であるということだろうか.磁気モノポールも考慮したマクスウェル方程式をヘヴィサイド方程式という.
微分形式を使うとマクスウェル方程式が簡単な形になる.が,それ以上の有用性は残念ながらわからない.
15.17節.一般座標変換のもとでのマクスウェル方程式.わずかなページでこれを説明されているが,やはりわかりづらい.とにかくマクスウェル(ヘヴィサイド)方程式に現れる微分を共変微分に置き換えればよい.その結果(15.57)は(15.62)左の式になり, という因子が新たにつく.一方(15.58)を共変微分に置き換えても,クリストッフェルを含む項はすべて相殺して消えてしまい,結果として(15.62)右の式のように,(15.58)と同形になる.おそらくこの違いには幾何学的な意味があるのだろうが,残念ながらわらかない.
後半は回転系のマクスウェル方程式を求める. 軸まわりの一定角速度の回転系への座標変換によって
となるので が求まり,計量テンソルが計算される.P495の回転座標系の電磁場は,共変テンソルの定義が誤っている.
としないと以下で矛盾が起きる.微分は
である.このときに を計算する.プライム記号とチルダ記号を略す. の場合,
となり,ガウスの法則を得る. の場合
となりアンペールマクスウェルの法則を得る.続いて を計算する.
によって
を得,
から
を得る.他も同様により,(15.63)になる.共変,反変テンソルは
などにより(15.64)の上の式のようになる.これから
となる.これが(15.64)と等価であることは
により確かめられる. の位置に注意.(15.64)から
を(15.63)に代入すると
から の式を得,
から の式を得る.
P496の残りの部分については,計算が合わないところがあるので次回にまわす.