電磁気学の基礎 I (その17) 4.3, 4.4

電磁気学の基礎 I」太田浩一 著 (シュプリンガージャパン) の読書メモ



 4.3節. \Theta微分方程式の解と,ルジャンドル多項式の母関数の展開係数が一致することは証明が必要であるが,ここでは概略だけ示す.何をルジャンドル多項式の定義とするかは本によって異なるが,例えば母関数の展開係数を定義とした場合,展開式の  x, t 微分からルジャンドル多項式微分漸化式がいくつか得られ,それらを組み合わせると  \Theta の満たす微分方程式の解がルジャンドル多項式であることを示すことができる.


 母関数の展開式を使うと,有名な(4.8)式が得られる.小さいほう  r_< と大きいほう  r_> を区別する理由は,母関数の引数  t |t|<1 という条件があるためである.(4.7)式の各項がラプラース方程式(この本ではラプラスではなくラプラースである)を満たすので,(4.8)の各項もラプラース方程式を満たしている.



 4.4節.グリーン関数の導入.境界条件を考慮したポアソン方程式の解は(4.17)式で,(3.4)は領域を無限に拡げた場合である.ラプラース方程式の解で有界なものは定数解だけである(リウヴィルの定理).境界条件を決めればポアソン方程式の解は一意に決まる.


 1次元のグリーン関数を求める.(3.23)から


 \begin{align} \phi(x)=-\frac{\sigma}{2\epsilon_0}|z| = -\frac{\sigma}{2\epsilon_0} z(2\theta(z)-1) \end{align}


なので,


 \begin{align} \frac{d^2}{dz^2} \phi(x)=-\frac{\sigma}{\epsilon_0}\delta(z) \end{align}


により(4.20)を得る.2次元の場合も同様にして(3.14)から得られる,と言いたいところだが,実はそれほど単純ではない.(3.14)に対して平面の  \nabla^2 を取ると  \rho\neq 0 のときは 0 になるが, \rho=0 の場合はまだ計算していない.そこで(3.26)の2次元版に相当する式を導かなければならない.グリーン関数を求める方法はフーリエ変換を使うのが一般的であるが,ここではA.6節の方法を使い,(A.37)で  n=2 とすることで(4.21)を得る.つまり2次元では


 \begin{align} \nabla^2 \ln \frac{1}{r}= -2\pi\delta(\mathbf{x}) \end{align}


ということになる.


 2章に比べると説明が不親切になってきた気がするが気のせいだろうか…