電磁気学の基礎 I (その15) 3.7, 4.1, 4.2

電磁気学の基礎 I」太田浩一 著 (シュプリンガージャパン) の読書メモ


 3.7節.4極子は「しきょくし」と読むのだろうか? おそらく四重極のほうがよく使われている.4極子はダイアド(2階テンソル)を使って  \mathsf{q} という記号を使う.ちょっとわかりづらいが本の通りにする.グリフィスでは  \overleftrightarrow{q} という記号を使っていて,こちらのほうがわかりやすい.


 4極子モーメントの電位がP71一番下の式に与えられているが,(3.33)のデルタ関数項を省いた,とある.なぜ省いていいのかわからない.4極子を考える状況というのが4極子から遠く離れていることが多いからだろうか.この式の最後の等式を確かめるには,左辺の括弧内でトレースが0であることを使う.つまりその前の  q_{ij} q'_{ij} にしても  q'_{ij} の2項目である  \delta_{ij} 項は消えてしまうので差はない.そのため,最初の等式の右辺の  \mathsf{q} \mathsf{q}' としてもよい.


 P72最後の恒等式は, \pmb{\nabla}\cdot\mathsf{q} がベクトルであることを使ってベクトル三重積の公式を使っている.



 4章.4.1節では導体の一般的性質とクーロンの定理を扱っている.クーロンの定理と同等な式はグリフィスでも登場するが,クーロンの定理という名前はない.


 4.2節は鏡像法の計算だが,複数の例を扱っている.最初の例は点電荷と導体平面の系である.P75の  E_\rho, E_z は(4.2)式の微分から得られる.P76の  q_{\rm ind}


 \begin{align}
  q_{\rm ind} &= \int_0^{2\pi}d\varphi \int_0^\infty d\rho \rho \sigma \\
  &= -\frac{ql}{2}\int_0^\infty d\rho \frac{\rho}{(\rho^2+l^2/4)^{3/2}} \\
  &= \frac{ql}{2} \left\{ \frac{1}{\sqrt{\rho^2+l^2/4}}\right\}_0^\infty \\
  &= -q
\end{align}


と計算できる.